子どもに寄り添う - 少年事件・学校事故への取り組み(野口善國)
「調査官今昔」〜野口善國のつぶやき
私が大学生というともう50年以上も前の話ですが、私はしょっちゅう東京家裁の調査官室を訪ね、少年について色々と教えてもらったものでした。
当時は、裁判官も調査官も、「少年法を守る」という姿勢がはっきりしていました。事件数も今の何倍もあり、調査官はてんてこ舞いでした。それでもほとんどの調査官は積極的に家庭訪問をしていました。
調査官を家裁に訪ねても、留守をしていることも多かったですが、とにかく、何とかして少年を助けたいという気持ちが家裁に充満していました。
この頃は、何となくそのような熱気が調査官に感じられなくなってきました。
この頃の調査官の報告書は、詳細で立派なものが多いです。
しかし、どことなく、調査官が自分の意見をはっきり言わなくなり、裁判官の意向に沿うような報告書が増えてきたように思います(もちろん、例外もありますし、立派な仕事をしている裁判官の所では調査官もいきいきと仕事をしているように見えます)。最近、残念ながら少年院送致となってしまった事案に関与しました。
付添人弁護士が、必死に社会資源を探し、保護者との調整も一生懸命やった事件で、弁護士が調査官にそのことを切々と訴えたのですが、調査官は即座に、「私は少年院送致の意見で変わりません」と断言しました。
もう少し少年のために悩むとか、迷うとかの姿勢があってもよいのになぁと思いました。